導入事例

事例5

「建築特有の壁」を越え、全社が同じ数字で動く経営基盤へ。
太平工業が選んだ、業務に寄り添うシステムと「月次決算の大幅短縮」という選択

太平工業株式会社
代表取締役社長 𫝆西 哲雄 様 / 理事 芝崎 敏人 様
PROFILE
1947年(昭和22年)設立。島津製作所の建設課木工場から分社化して誕生し、来年で創業80周年を迎える。当初は木工事業から始まり、船舶の舗床材などで成長を遂げた独自の歴史を持つ。現在は建築工事を中心に、設備工事、保守メンテナンスまでをワンストップで提供できる体制を強みとする。
京都に本社を置き、島津グループ内外の工事を担いながら、売上高100億円規模、そして京都の地場ゼネコンとしてトップクラスの存在を目指している。
「建築特有の壁」を越え、全社が同じ数字で動く経営基盤へ。 太平工業が選んだ、業務に寄り添うシステムと「月次決算の大幅短縮」という選択
導入した感想
以前のシステムは契約履行状態を管理する販売管理システムと経費支出やBS/PL作成を担う会計システムの二本立てであった。データ連携はされていたが、手作業も多く、二つのシステムの数字が一致しているか、会計的に間違った数字になっていないか、の確認が必須だった。月次決算においては、親会社への報告までの期間を全てこの作業に費やし、会計数字を経営に生かす余裕はなかった。Sitrom-CC導入後は、受発注から、BS/PLまでの一気通貫のシステムが完成し、前システムで行っていた確認作業はほぼゼロになった。他にも半日掛けていた手作業の自動化も実現でき、以前1日半かかっていた経理の月次締め作業が、半日で完了するほど劇的に短縮された。

特に評価している点は、建築業の事情に適合した柔軟なカスタマイズ性と、フォロス担当者の深い業務知識に基づく提案力である。今後はダッシュボードを活用し、現場の職長含め全社で同じ数字を共有する文化を強化し、さらなる経営判断の迅速化を図っていきたい。

「太平に頼めば全部やってくれる。その強みを、数字でも支える」――太平工業がSitrom-CCで進めた管理基盤の再構築

1947年に島津製作所の建設課木工場から独立し、来年80周年を迎える太平工業株式会社。島津グループの中で最も長い歴史を持ちながらも、木工事業、船舶の舗床材事業や包装事業で成長してきた独自の道を歩んできました。現在、同社は建築工事・設備・保守までの一貫体制を武器に、売上高80億円に迫る成長を見せています。

次なる目標である「売上高100億円」を見据える同社ですが、数年前までは深刻なシステム課題を抱えていました。複雑な経理・原価管理業務を劇的に改善し、組織の意思決定スピードを加速させた工事原価管理・管理会計システム「Sitrom-CC」の導入経緯と、その圧倒的な効果について、𫝆西社長とシステム導入を主導した芝崎理事にお話を伺いました。

島津グループの「異端児」。独立色とワンストップ体制という強み

太平工業は、島津製作所グループの一員でありながら、一般的なグループ会社とは少し異なる歩みをたどってきました。創業当初は木工事業を起点とし、その後、船舶の舗床材、輸出梱包、建築工事へと事業を広げ、現在は建設会社として成長しているという歴史があります。

𫝆西社長は、同社の立ち位置について次のように語ります。

「グループ会社の中では一番歴史があると思いますが、他のグループ会社と異なり、島津の主流ビジネスとは異なる業界でビジネスを展開しているため独立心が強い会社と言えます。」

島津グループの一員でありながら、独立した建設会社としての裁量を持ち、顧客や現場の要望に合わせて柔軟に事業を展開してきたことが、太平工業の大きな特徴です。

同社の現在の強みは、建築工事だけにとどまりません。電気、空調などの設備工事、さらに保守メンテナンスまでをワンストップで提供できる体制を備えています。

「うちは建築だけでなく、電気や空調などの設備工事、さらに保守メンテナンスまでできる専門家がいます。お客様にとって色々なところに頼むのは面倒ですから、『太平にお願いしたらすべてやってくれる』という体制が強みです」

建設業界では、人手不足や専門業者の調整負荷が高まる中、発注者側にとって「複数業者を束ねる手間を減らせること」は大きな価値になります。太平工業は、建築・設備・保守を一体で担うことで、顧客の手間を減らし、継続的な信頼関係を築いています。

一方で、取り扱う工事領域が広がれば広がるほど、案件ごとの原価、受注、進捗、請求、会計を正確に管理する難易度も高まります。現場の対応力を企業成長につなげるためには、それを支える管理基盤の整備が不可欠でした。

建設業特有の「見えにくさ」が、経営判断を遅らせていた

太平工業がシステム刷新に踏み切った背景には、建設業特有の数字の見えにくさがありました。2018年10月に太平工業へ着任した芝崎理事は、前社長から「ちゃんと数字が出るようにしてくれ」と特命を受けたことが、システム検討の出発点だったと振り返ります。

「以前のシステムはそもそもは契約管理システムであって、一般的な意味での会計システムではなかったんです。例えば20日に『今月の受注実績を知りたい』と思っても取れませんでしたし、月単位で締めるという考え方もなかったので、受注残の数字は手作業で計算する必要があって、作成者毎に3つの異なる数字が存在している状態だったのです。それから販売管理システム部分と会計システム部分の数字も一致していなかったので、事業部門の役員は、会計システムから出てくるBS/PLの数字を信用していなかったのです。」

経営層にとって、受注残や期間損益は、今後の売上見通しや利益見通しを判断するための重要な指標です。しかし、その数字がシステムや担当者によって異なっていれば、経営判断の前提が揺らぎます。会議の時間は、本来「この数字を見て、どのように動くか」を議論するために使われるべきです。しかし、数字が揃っていない状態では、そもそも事業部門はその数字を信用できるものとは扱いません。

親会社である島津本体のシステムを導入する案もありましたが、建築業は「一品もの」であり、製造業のような製品テーブル(パーツナンバー等)が存在しないため、そのまま適用することは不可能でした。そのため、建築に特化した専用システムの導入が急務となりました。

太平工業にとって必要だったのは、建設業の業務構造を前提に、工事の発生から会計までを一気通貫でつなぎ、全社が同じ数字を見られる仕組みをつくることでした。そのためには、会計にあまり明るくない工事の担当者も正しく入力できるUIにする必要がありました。

求めたのは“入力の効率化”ではなく、見積から会計までつながる一気通貫の基盤

システム選定にあたり、複数社を比較検討した結果、同社が選んだのはSitrom-CCでした。

「一番の決め手は、一気通貫の管理をしたいので会計の知識がなくとも工事の情報などを入力できること、そして『うちならこうしますよ』と提案できるフォロスさんのコンサルティング力です。ただシステムを売るのではなく、業務を深く理解した上で最適な使い方を提案してくれる。その高いスキルがあったからこそ、自社に合ったシステムを構築できました」

業務システムの導入では、要望をそのまま機能化するだけでは、かえって運用が複雑になることがあります。特に建設業では、長年の慣習や担当者ごとの管理方法が残っていることも多く、現状業務を単純にシステムへ移すだけでは、本質的な改善にはつながりません。

重要なのは、現在の業務の目的を理解したうえで、「どの情報を、どのタイミングで、どの粒度で管理すべきか」を整理することです。太平工業がフォロスに期待したのは、まさにこの業務設計の部分でした。

Sitrom-CCは、工事原価管理システムとして、工事台帳、見積、受発注、原価、請求、会計連携までを一体で管理できます。さらに、会社ごとの運用に合わせた調整ができるため、太平工業のように建築・設備・保守をまたいで管理する企業にも対応しやすい構造を持っています。

建設業の経営層にとって、システム選定で見るべきポイントは、画面の見やすさや入力項目の数だけではありません。自社の事業構造を理解し、将来の成長に合わせて業務基盤を拡張できるかどうか。その視点でSitrom-CCは、太平工業の選択肢となりました。

二重入力をなくし、月次締めを“確認作業”から“判断の場”へ変えた

Sitrom-CC導入後、太平工業では、見積もりから受発注、会計までの一気通貫の仕組みが整いました。

「これまでは締めのたびに数字を合わせること自体が仕事になっていました。今は、揃った数字を前提に次の管理や判断ができる。ここが大きく違います

これまでは他の会計システムへの二重入力が発生していましたが、これが解消されたことで、システム維持費用の削減にも繋がりました。

現場の効率化も劇的に進んでいます。

以前は第4営業日に丸1日半かかっていた経理の月次締め作業が、今では半日でには終わるようになりました。情報が一元化されたことで数字の精度も上がり、仕事の質そのものが向上しています」

建設業において、月次決算は単なる過去の集計ではありません。進行中の工事が多いからこそ、月次の数字は今後の経営判断に直結します。利益率が想定より低い工事、受注残の消化状況、外注費や材料費の増加傾向を早めに把握できれば、現場への指示や受注方針の見直しにつなげられます。

Sitrom-CCの導入により、太平工業では「数字を作るための月次締め」から、「数字を使って判断する月次締め」へと業務の意味が変わり始めています。

親会社連結や管理会計にも対応し、“一つの数字”で会話できる組織へ

太平工業は島津グループの一員として、社内管理だけでなく親会社・グループ向けの報告精度も求められます。従来は、建設業独自の管理と会計・連結報告の間にギャップがあり、各所で補正や再集計が必要になることも少なくありませんでした。

「当社は、当社として建築、舗床、保全という事業があり、これらの事業状態を独立して把握したいというニーズがあります。一方、親会社への報告は、島津グループ内と島津グループ外の軸で損益を計算して報告するようにと要請されています。私達のような年商100億円に満たない企業が導入できるシステムで、業績管理を独立した二つの切り口で集計できるシステムなんて世の中にあるんだろうか、と思っていました。それがあったんですね。」

Sitrom-CCの導入により、現場起点の情報と管理会計・連結報告に必要な数字のつながりが整理され、部門間で異なる前提のまま議論する状態から脱却。経営層、管理部門、現場責任者が同じ数字を見ながら話せる土台が整いつつあります。

「数字が一つに揃うと、会議の質が変わります。『どれが正しいか』ではなく、『この数字を見てどう動くか』に時間を使えるようになりました」

島津グループのポテンシャルとAI・データ活用で、100億円企業にふさわしい意思決定基盤へ

太平工業が今後見据えているのは、売上高100億円規模の会社になることです。現在も順調に成長し続けており、𫝆西社長は「京都の地場ゼネコンで1番くらいになりたい」と語っています。

その実現に向けて同社が重視しているのが、島津グループとしてのポテンシャル活用です。島津製作所各事業部、グループ会社の営業先には病院、工場や研究所など多くの法人顧客があり、大型の画像診断機器導入時には、建屋の改修、設備工事、電気工事、保守対応が必要になります。新築から機器導入、保守までを島津グループとして一体で提案できれば、太平工業にとって大きな成長機会になります。

「島津製作所の営業の先には、病院、工場や研究所など、潜在的な法人のお客様がたくさんいます。大型画像診断機器を入れる時は建屋の改修から始まりますから、新築から機器導入、保守まで全部島津グループでやらせてもらえたら一番いいですよね」

一方で、受注規模が拡大するほど、工事管理の難易度も高まります。受注状況や進捗、採算の変化をタイムリーに把握し、受注残、工事ごとの原価、請求・支払、月次決算、親会社への報告までを正確に管理できなければ、成長は管理負荷の増大につながります。

だからこそ太平工業では、Sitrom-CCを単なる現行業務の置き換えで終わらせるのではなく、今後の成長を支える経営基盤へ進化させていく構想を描いています。その中心にあるのが、ダッシュボードの活用とAI機能への期待です。

「これからは、管理部門だけが数字を見るのではなく、現場の責任者も同じ数字を見て動くことが大事になります。ダッシュボードを活用して、知りたいことにすぐたどり着けるようになれば、会社の意思決定はさらに速くなるはずです」

経営層だけでなく現場責任者も同じ指標を共有できれば、全社が同じ数字をもとに判断できるようになります。これからも成長し続ける企業にとって、現場の属人的な勘や経験だけに頼る管理には限界があります。

太平工業にとってSitrom-CCは、島津グループの営業資産を活かし、受注機会を確実に売上と利益へ変えていくための経営インフラです。成長ビジョンに合わせて、現場力、グループ連携、管理基盤、そしてデータ活用を結びつける。その中心となる基盤として、Sitrom-CCへの期待はさらに高まっています。

【編集後記】

Sitrom-CCは、太平工業様にとって、工事原価管理システムであると同時に、現場と経営をつなぎ、成長戦略を支える経営インフラになりつつあります。建設業界でさらなる成長を目指す経営者にとっても、同社の取り組みは、システム導入を「効率化」ではなく「経営の武器」として捉える重要な示唆を与えてくれる事例です。

創業80周年という節目の先にある大きな成長に向けて、Sitrom-CCを単なるシステムではなく、現場と経営をつなぐ戦略基盤としてご活用いただけるよう、私たちも技術を磨きながら新しい提案を行ってまいります。

フォロス後藤代表 株式会社K's電設 代表取締役 見目様

写真左)太平工業株式会社 理事 芝崎 敏人 様 中央)代表取締役社長 𫝆西 哲雄 様 右)フォロス後藤代表

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